エリクソン催眠&コミュニケーション
エリクソニアン コミュニケーション ラボラトリー

ミルトン・エリクソン

ミルトン・エリクソン

「治療に抵抗するクライアントなどいない、柔軟性にかけるセラピストがいるだけだ」

ミルトン・エリクソンの有名な言葉です。


エリクソンは催眠療法家として有名な、精神科医であり、心理学者でもあった人です。
彼は、大学時代に、のべ2000人以上に、催眠実験を行ったと言われています。

彼の催眠技法は非常に広汎かつ独特なもので、説明するのがとても困難で、また、独習が難しいといわれています。

それは、彼の催眠は言語だけではなく、相手を深く観察した中で、声のトーン、話しかける位置、話をする速度などを誘導の中で使い分け、また相手の催眠中の反応を丁寧に拾って利用していくという
スクリプト(暗示文)だけに頼るものではなく、非常に多くの技術を駆使したものだったからです。


確かにエリクソンは、彼のセラピーの初期には、催眠療法をメインとしたセラピーを行っていたのですが
じょじょに、その技法を、いわゆる「催眠」と呼ばれるものの枠から、広げていきました。

エリクソンの根本にある考え方は、「催眠はコミュニケーションの1つだ」というものだったのです。


エリクソンは催眠療法家として最も有名ですが、実は彼の生涯においては、いわゆる「催眠」という形でセラピーを行ったものは、3割ほどだったといわれています。

彼は、 一見、ただ普通のお話しをしているだけにしか見えない中で、たくさんの彼の催眠誘導と同じテクニックを使い、クライアント本人ですら気付かないうちに、変化させていきます。

催眠誘導と普通の会話の境を曖昧にし、自由に催眠とそれとの間を行ききして、クライアントをよりよい方向へ導いていったのです。


エリクソンのこのクライアントへの働きかけ方・治療戦略は、今日の色々な心理療法の流派の源流となっています。

  • ヘイリー・マダネスの、ストラテジックモデル
  • ド・シェイザー、インスー・キム・バーグらによる、解決志向アプローチ(Solution Focused Approach)
  • リチャード・バンドラーとジョン・グリンダーによる、神経言語プログラミング(NLP)
  • ジェイ・ヘイリー、グレゴリー・ベイトソン、ジョン・ウィークランドらによる、家族療法

などなど・・。

ジェイ・ヘイリーは、当時、エリクソン以外に相談できる人物はいなかったと、回想しています。

それくらい、当時の心理療法の場において、彼のやっていたことは独特なものでした。


ただ、クライアントそれぞれの個性をとても大切にし、「クライエントごとに異なるアプローチをすべき」という信念を持っていたエリクソンは、自らは技法の体系化を好みませんでした。

これは、エリクソンの技法が難解であると言われる原因のひとつでもあります。

けれど、エリクソンの治療がいかに優れていたものであったかは、彼の弟子達や、のちの多くの学者や心理療法家達が、彼のやっていたことを研究していることからもわかるでしょう。


催眠家の世界では、特にエリクソン催眠を理解し、使っている人のことを、一般的には「エリクソニアン」と呼んでいます。

けれど、私は、エリクソン催眠誘導ができるからエリクソニアンである、とは考えていません。

全てのクライアントが、一人ひとりユニークで個性的な存在で
それぞれに合致した、これまたユニークで個別の治療的処置が必要である。

そして、これはセラピストにも当てはまり、同様に一人ひとりが、ユニークな個性を持った存在である。

という、エリクソンの言葉があります。

これはエリクソニズムの真髄をなす考え方で、そしてこのスピリッツを持った人こそ、エリクソニアンであると、私はそう考えています。


残念なことに、エリクソンの催眠テクニックのうわべだけを単純化・公式化したものを知り、それだけで、エリクソン催眠がわかった気になっている方がおられることも事実です。

エリクソンの催眠誘導技法のうわべを学んだだけでは、本物のエリクソン催眠や、エリクソンのやっていたことを理解することはできません。
彼の治療背景にある治療ロジックや、専門概念を理解する必要もあるからです。

そして何よりも、エリクソンのスピリッツを理解し、身につけない限り、エリクソンのやっていたような他者へのアプローチを、身につけることは難しいのではないでしょうか。


エリラボでは、エリクソンの治療戦略を深く理解し、あらゆる個々人を個性的で特別な存在であると考える、エリクソニズムを身につけたエリクソニアンたるべく、研究・研鑽を重ねています。

また、そういうエリクソニアンを育て、エリクソニズムというものを広めていきたいと思っています。