脳は否定形を理解できない

上手に生きる

人間の脳というものは、否定形を理解できないようになっています。

ピンク色の象

脳が否定形を理解できないって、どういうこと?っていうと
例えば

ピンク色の象、大きな耳も長い鼻も、太い四肢も、全て可愛らしいピンク色の象
その象のことは、決して想像しないでください。

いいですか?
決して、想像しないでくださいね。

この「~しないでください」というのは、専門用語では否定命令といわれるものです。
エリクソン催眠でたまに使われるテクニックで、言葉の上では「想像するな」と言いつつ
実際には、それを想像させるものです。

「~しない」ためには、いったん「~する」ということを無意識的に想像したり考えたりする必要があり
そして、冒頭にも書いたように、人間の脳は否定形を理解できないので
想像するな、考えるな、と言われれば言われるほど
脳内では、それを考えたり想像したりしてしまう、ということが起こります。

怒りたくないんです

ところで
時々、「怒りたくないんです」「怒りという感情を全てなくしてしまいたいんです」とおっしゃる方にお会いします。

専門的な話をすると
怒りを感じると、体内でアドレナリンと、コルチゾンというホルモンが代謝されます。
そして、そのコルチゾンは瞬間のうちに生合成されてコルチゾールへと変化します。

アドレナリンもコルチゾールもともに、過剰分泌されると
血圧上昇、血糖上昇、心収縮力の上昇、心拍出量の上昇などを起こす作用があります。
また、コルチゾールの増加は、一般的に免疫を低下させ、精神的にも「やる気がでない」など鬱傾向になりがちです。

こうやって聞くと、怒りって何もいいことがないような気がしますが
もしも、全く怒りという感情を感じない、そのシステムが全く機能しなくなったとしたら…
いったいどういう風になるのでしょうか?

いきなり罵声を浴びせられても、理不尽な言いがかりをつけて不当な要求を強要されても
全く一切怒りを感じない。

ちょっと怖くないですか?
お気持ち問題ではなく、現実的な実利実害に大きな問題がでそうな気がしませんか?

マイナスの感情の役割

怒りや悲しみ・痛みなどの、一見マイナスの感情にも、自分を守る働きがあります。
マイナスの感情は、言ってみれば、嫌なことが起こってるぞというサインです。
そのサインがあるからこそ、私たち人間は嫌なことから遠ざかったり避けたりすることができるわけです。

私が思うに、問題なのは、怒りそのものではなく、その怒りを長く持ち続けることなんじゃないか?と、そう思います。
大切なサインである怒りを感じても
あ、今、私にとって嫌なことが起こってるんだな
と気づいたら、怒りでぐるぐるするのではなく、対処方法を考える
、という風に
マイナス感情にあたった意識のフォーカスを、問題解決の方へと向けかえれば
それは、自分を助けるものになるんじゃないかなぁ。

多くの怒りをなくしたい、感じなくなりたい、という方は
実は、怒りという感情の保持時間を短くと言ってるのではないか?
と、そんなことを考えたりします。

最初に書いたように、脳は否定形を理解できないので
怒りたくない、と思えば思うほど、怒りにフォーカスが当たり
かえって怒りを鎮めることが難しくなりがちです。

~したくない
と、その気持ちをぐるぐる回すよりも、意識のフォーカスを違うところに向け変えることが
結局は、~することから離れられる近道です。

個人的には、マイナス感情を感じたら、まずはそこから起こりうる現実(起こりえない妄想じゃないですよ?)にどう対処するのか
そこを考えるようにしていくことが、なかなかに建設的でいいんじゃないかなぁと思います。

ただ、そのあたりは人それぞれのお好みというものがありますから
マイナス感情を感じたらきつい筋トレをしてみるのもありかもしれませんし
マイナス感情を感じたら、今夜の夕飯の献立と手順を考えてみるのもありかもしれませんし
あるいは、素数を数えてみたり、なぁんて手もあるかもしれません。
*素数を数えるって案外頭を使うので、個人的には結構好きですw

いずれにしても、~したくない、と思うのであれば
脳の特性を考えても、違うことに意識のフォーカスを向けてみること
それが一番だったりします。

あとはしゃーない教に入信してみるとかw
・この人は~だから、しゃーない(関西弁で仕方ないという意味の言葉です)
みたいな、ね。

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