今日は人間の脳について書いてみるので、ちょっと難しいかもしれません。
何やら難しげなことが書いてはありますが、あまり詳しいことは、わからなくても大丈夫です。
ただ、なんとなく
あぁそういう仕組みなのかー
と、それだけ理解していただければ、それで私てきにはOKです。
さて、人間の脳の部位の分け方には、色々な分け方があります。
まず最初に、神経学者ポール・マクリーンが唱えた「脳の三位一体モデル」というものを使って、ちょっとお話しをしてみます。
ちなみに、マクリーンのこのモデルは、2012年現在の脳科学では「厳密な」モデルとしての正確性はありませんが
脳の構造と進化の大まかな理解や認識を得るのには、大変、便利なモデルです。
マクリーンのモデルだと、人間の脳は大きく分けて
爬虫類脳・旧哺乳類脳・新哺乳類脳
この3つに分けられます。
脳科学はまだ発達段階にあり
人間の超複雑で奇奇怪怪な脳の働きについては、まだまだ謎だらけです。
ですので、私がするお話の全てがファイナルアンサーではない、
現時点2012年7月時点で解明されていることについてでしかない
それは、ちょっとお断りとしていれておかせていただきますね。
優劣ではなく差異
このマクリーンの説で、ひとつだけ言っておきたいことがあります。
この脳の3層モデルは、優劣ではなく種というものの差異、でしかない
ということです。
この、優劣ではなく差異でしかないという思想は、とても大切な思想ですので
これを読まれた方が、あらゆるものにたいして、こういう視点を持ってくださると嬉しいなぁと思います。
他者に対しても
優劣ではなく、差異でしかない
という視点を持つことで、人を否定することがなくなるからです。
いいも悪いもない、ただ単に違うだけなのねー
そういう視点です。
もう少しつっこんで書いてみると、仮にそれが優だと思うのだとしたら
それは、その人のお好み(嗜好)および、その時の社会情勢からのものであり
それは何かの真実でもなければ、絶対不変のものでもない
ということは言い添えておきたいなと思います。
今では女性蔑視など、社会的には許されない空気がありますが
女性の政治参加どころか、神社にお参りすることすら許されない時代が
日本だけではなく、世界のあちらこちらにあった
そんな時代もあったし、そして現代人の私たちはそれをナンセンスだと思うけれど
当時の人にとっては、それは悲しいことですが、自明の理であり、当たり前のことだったのです。
こんな風に、どんな考え方も、時代が違えば、何が正しく何が正解かなど、変わっていくもの。
だからこそ、絶対不変のものとして優劣をつけてしまうのは、ある意味、愚かなことだとすら私は思います。
最初に生まれた脳
さて話が逸れました。
まず、爬虫類脳
これについてお話ししてみます。
爬虫類脳とは、脳幹と大脳基底核からなります。
これが、なぜ爬虫類脳と呼ばれるかといえば
地球生命の進化の過程の中で、恐竜などの爬虫類にまで進化したときに、獲得した脳だからです。
そのあとに発生した哺乳類も霊長類も、爬虫類時代の脳を、機能も形もそのまま継承しています。
当然、人間もです。
ちなみに
進化の過程の中において、鳥類や初期哺乳類で発達してきた大脳辺縁系、マクリーンのモデルでは、これを旧哺乳類脳と呼んでいます。
またマクリーンが新哺乳類脳と呼ぶ、大脳新皮質
これは現存する5千数百種といわれている哺乳類、それだけが持っているもので
知覚・思考・記憶など の脳高次機能を担っています。
大脳辺縁系も大脳新皮質も、脳幹と大脳基底核をベースにさらに発展してきたものだということです
言い換えると、脳幹は、最初の脳であり、昔から動物が持ち続けているものであるということ
それがなんとなくおわかりいただけたでしょうか?
ちなみにお母さんのおなかの中でも、人間の胎児は細胞分裂を繰り返す中で、脳となる部位がざっくりできあがり、最初は全て脳幹だけなのが、じょじょに大脳辺縁系・大脳新皮質という形で出来上がっていきます
脳の各部の分け方
脳はどの見地から研究するか、語るかによって、各部の分け方が微妙に違うのですが
大脳・小脳・脳幹という分類もできます。
ちなみに、中脳というのは、脳幹と呼ばれるものの一部であり、下位脳幹の最も上にある部分にあります。
また、中脳の上部に間脳があります。
*広義の意味での脳幹というとき、この間脳も指します。
脳幹は、脳幹の上部で大脳と、そして背部で小脳と、また下部では脊椎とつながっています。
つまり、脳幹は大脳・小脳・脊椎の中継地点であり
大脳→脳幹
小脳→脳幹
脊椎→脳幹
というふうに神経伝達がなされる、脳の中心であり、神経伝達の中継ポイントです。
脳で処理された指令が脊椎を通って体の各部位に送られ、実際の行動に反映されます。
また、脳幹というのは、単独の神経核ではなく、いくつかの器官の集合体です。
そして厳密な意味での脳幹ということになれば、視床および視床下部(間脳)を除外した下位脳幹という呼ばれ方をしたりもします。
とりあえず、ここで私が言う「脳幹」とは狭義の意味での脳幹、つまり「下位脳幹」(間脳をのぞいたもの)についてである
その前提でお話をしていきます。
脳幹の役割
さて、脳幹の役割は何でしょう?
それは、大きく分けると、二つの役割があります。
1・大脳や小脳、そして脊椎に指令を送る中継点
2・生命維持装置としての役割
この二つです。
脳幹は、心拍(血液循環)、呼吸、体温管理など、個体生命の維持における中枢的役割を担っています。
植物状態と脳死の違いは何かといえば
この脳幹が機能しているかどうか、そこにあります。
ちなみに、脳死判定については、人を人たらしめている自我意識の発生システムには、
上位脳幹と大脳皮質の統合作用が不可欠である、として
下位脳幹だけをもって、脳死としてよいのかどうか?という議論があったりします。
大脳にダメージをうけて、動くこともしゃべることもなく、ただひたすら眠っている状態であっても、脳幹が機能している限りは、固体生命は維持されています。
生きているということです。
脳死とは、この脳幹の機能が損失された状態、個体生命の維持ができなくなる、つまり死を意味します。
つまり、この脳幹は、言ってみれば、私達の生命のコアな部分です。
生きているのは脳幹が機能し続けているから
多くの人は、どうして自分は生きているのだろう?
なんて考える時期があるようですが
はっきり言って、その答えはひとつです。
意味も理由もない、脳幹が機能している以上、人間は生きているのだ。
言い換えると、脳幹という部位を持っている私達は
ただ、生きていたい。
生きたいんだ。
それが、生命の持つ、大命題であるということです。
だって脳幹の働きは生命維持であり、そして脳幹はあらゆる動物が最初に獲得した部位なのですから。
自分の本質、それは、生きていたいということ。
脳幹を持つ生き物である以上、全ての人間もまた
ただ
生きていたい
それが、本質であるということ。
それをわかっていて欲しいなぁと思います。
とりあえず、脳の働きと人間の心について書き始めると、おそらく何十回のシリーズになってしまうので、とりあえず、ざっくりとした話だけを書いていますが、
これだけは覚えていてくださいね。
生きていたい
これが、人間の本質である以上
そこを保全すること
生きていていいんだよ~
生きていようね~
自分にこう言ってあげること
そして、他者にそのメッセージを送ってあげること
それが、人間にとって、何よりも重要なことである、ということです。
自己愛
自己重要感
自己肯定
その最もコアなところにあるものは
生きていてもいいんだー
そこにあるということです。
複雑な私
でも、人間の脳は複雑です。
ただ単に
生きていていいんだよ~
なんていわれても、生きていく中で得たさまざまな記憶によって
なんだか、うさんくさくて気持ち悪いと思ってしまうことも、往々にしてあります。
*このあたりは、大脳辺縁系や大脳新皮質の働きです
だからこそ、その「判断する脳」に「判断させないで」
つまり心理的抵抗をすりぬけて
あなたは生きていていいんだよ
あなたに生きていて欲しいんだよ
というメタメッセージを送るということが、とても大切になります。
ではどうやって人間の心理的抵抗をすりぬけるのか
それについては、偉大な心理療法家、ミルトン・エリクソンの叡智が、私達に大きなヒントをくれるのですが
まぁ、今回は、脳についてのお話しなので
体系だてて、そのあたりを学びたい方は、私の勉強会にきてくださいw
言葉も大事だけれど、行動で示すことが何より大事
相手の心理的抵抗をすりぬけるには?
この答えとして、ひとつ言えるとしたら、それは意識の心に働きかけるのではなく、無意識の心に働きかけるのだってこと。
意味不明かな?
理性に働きかけても、心が素直に受け取ってくれないこともある
こう書けば、おわかりいただけるでしょうか?
だからね、言葉を尽くすことはもちろん大切なことではあるけれど
時には、言葉ではなく、行動で示すことが大事です。
これ、とても難しいです。
だって私たち人間は、他者との意思疎通に言葉を使う生き物だもの。
ついつい、言葉で、理屈で相手を納得させようとしてしまう。
けれど、時に、言葉は無力だったりもするものです。
100万回愛をささやかれても
自分の都合だけで会いに来る人、こちらが会いたいと言っても忙しいの一言で、こちらの気持ちには応えてくれない人。
そんな人の愛してるっていう言葉は、信用しきれないでしょ?
あなたが大切なのだ
生きていて欲しいのだ
あなたに生きて、存在していて欲しいのだ
それを伝えるためには、言葉だけではなく
相手の望みに添うこと
それは大事なことだよね。
結局、脳幹という部位は言葉を持っていないので、言葉で伝えても理解できないんですよ。
動物が傷ついた仲間や子を、ペロペロとひたすら舐めて傷を癒そうとする姿
そこに、私たち人間にも重要なヒントがあるのかもしれません。
とりあえず、お互いが好意を持ち合っている関係なら
まずは手をつないでみることから・・かしら??